デフリンピックでメダルを! 「アイ・コンタクト」

2010年9月18日(土)より、ポレポレ東中野にて公開決定!
素直!屈託ない!真剣!
この映画の主人公たち、とにかく、ひたむきさが愛おしくて、応援したくなること間違いなしなのだ。
主人公は、第21回夏期デフリンピックに初出場した、ろう者サッカー女子日本代表チームの選手たち。彼女たちを3年間追ったドキュメンタリー映画「アイ・コンタクト」が完成した。デフリンピックとは、4年に一度、世界規模で開催される聴覚障害者のためのスポーツの国際競技大会である。中村和彦監督は、前作「プライドinブルー」で、知的障害者のサッカー世界選手権に出場したチームを描いている。
アイ・コンタクトとは、代表的な非言語コミュニケーションの一種で、相互の目と目で意思や感情を確認し合うことだそうだ。
さて、そんなタイトルのこの映画、サッカーがテーマとも聞いていたため、その試合中どれほどのアイ・コンタクトが見られるかと期待した私…。すっかり、派手で大掛かりなカメラワークに、効果音がんがんのゴールデンタイム派手派手スポーツ観戦に慣らされていた私は、あれ? なんだ? これだけ? と思ってしまった。もっとこう、シャッキーンって感じで目線がぶつかったりしないの? まあまあ、よく考えれば至極当然ながら、そんなわけはないと鑑賞中にすっかり反省させられることに。
ストーリーは、生い立ちや手話のこと、サッカーのことなどを、経験や日常を織り交ぜながら、彼女たち自身が手話と口話で語る。気がつくと彼女たちの語り口についつい、にまにまと顔が緩んでいたりすることに気がつく。とにかく、屈託ないのだ。「健聴者はうわさ話とか聞こえて嫌な思いをするみたいだけど、私は聞こえないから楽よ」「よくわからないから適当に聞いた振りをしていた」と、笑って見せる余裕や、「結婚はろうの人がいい。健聴者との間には壁がある」と、発言はどれも素直で等身大。
そして、この映画は「ろう者」「障がい者」と一括りにしていないところが小気味いい。それぞれの個性がよく表れている。

ひと通りサッカーとの関わりが見えてきたところで、いよいよ彼女たちはデフリンピックへと向かう。対戦相手のイングランドやロシアなど、みんな体が大きくて吹っ飛ばされはしないかと、見ていると不安になってくる。子供にナイフを持たせられない母親のような心境だ。でも、それも見ているうちに見慣れてきてほっとする。やはり、体験は大事なのだ。触れると許容範囲が少し分かってくる。
考えてみると、陸上競技などは、健聴者と一緒に出てもいい競技もありそうだが、なぜそうしないのか? ロシアのキャプテンは、「健聴者の方が少しだけレベルが上。でも、頑張れば一緒に戦える」と強い意気込みを持って話していた。私には、それにはどんな苦労が伴うのか、そこにはどんな意義があるのか、また、当事者からの要望はあるのかなどよく分からない。改めて調べてみたい。
試合中は、安全のため補聴器が使えないという。音のないピッチの彼女たちは、とにかく忙しそうだ。選手間のコンタクトがうまく取れず、ゴールキーパーにコーチは言う「声をかけろよ」。すると彼女は困った顔で「みんなボールを見ている。どうすればいいのよ?」。 ボールに集中しながらもアイ・コンタクトが必要なのだ。私の期待しているような派手なことができるはずはない。急に魔法のようにココロが通じ合う訳でもない。一試合ずつ、丁寧にアイ・コンタクトを心がけるしかないないのだ。映画鑑賞の帰り道、歩きながらショーウインドウを眺めては人にぶつかる自分にもしっかりとそれを思い知らされた。
選手の一人が言った「どんなときも、顔を上げないと伝わらないから!」という言葉が、全ての人々に宣したイエローカードのようで印象的だった。
「アイ・コンタクト」製作委員会
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